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体脂肪分解

◇体脂肪の分解
糖質の貯蔵が枯渇し、インスリン濃度が低下すると、アドレナリン濃度が上昇し、トリアシルグリセロール(貯蔵された体脂肪)の加水分解が促進されます。アドレナリンが脂肪細胞のβレセプターに結合すると、プロテインキナーゼAが活性化され、このプロテインキナーゼAが脂肪細胞の中で、ホルモン感受性リパーゼを活性化します。このホルモン感受性リパーゼは、トリアシルグリセロールを遊離脂肪酸とモノアシルグリセロールに変換します。また、モノアシルグリセロールリパーゼがモノアシルグリセロールをグリセロールと遊離脂肪酸に変換します。
 
このようにして、糖質の貯蔵が枯渇し、インスリン濃度が低下し、アドレナリン濃度が上昇すると、脂肪細胞のトリアシルグリセロール(貯蔵された体脂肪)は、1分子のグリセロールと3分子の遊離脂肪酸に分解されます。
 
グリセロールと遊離脂肪酸は脂肪細胞の細胞膜を通して拡散し、血流に入ります。蓄積された体脂肪が分解されるときにできたグリセロールは肝臓で代謝され、そこで大部分が糖新生を通してグルコースに変換されます。
 
脂肪酸は水溶液にはほとんど溶けませんが、血液中の血清アルブミンと結合して、脂肪酸-アルブミン結合体となって血中を移動し、心臓、骨格筋、肝臓のような多くの組織に運ばれ、そこのミトコンドリアで酸化され、エネルギーを放出します。
 
同時に、グルカゴンの濃度が上昇し、マロニルCoA合成(体脂肪の蓄積を増やす方向の反応)を触媒する酵素が不活性化されます。その結果、脂肪酸のミトコンドリア(エネルギーを作る場所)への輸送が高まり、β酸化経路の流れが上昇します。脂肪酸酸化でつくられるアセチルCoAやNADHの濃度が高まると、ピルビン酸デヒドロゲナーゼ複合体の活性が阻害され、グルコースとピルビン酸の酸化が減少します。
 
このように、脂肪酸酸化と貯蔵は反対向きに調節されているだけでなく、食事の直後のように脂肪酸が豊富なときには貯蔵が上手くいくように、グルコースを節約しなければならない時には、脂肪酸酸化が進行するように、脂肪酸代謝は調節されています。
 
◇ケトン体の生成
脂肪酸酸化でつくられるアセチルCoAの大部分はクエン酸回路に入りますが、グルコース異化作用が低下した時、オキサロ酢酸分子はほとんどできず、アセチルCoA量がクエン酸回路の必要を上回ってしまいます。過剰のアセチルCoAは、ケトン体の合成に回されます。
 
ケトン体(主にβ-ヒドロキシ酪酸とアセト酢酸)は哺乳類では肝臓で合成され、水溶性脂肪として、血流を介して心臓や腎臓のような組織に速やかに運ばれます。糖質の貯蔵が枯渇し、グルコース異化作用も低下した状態ではケトン体が大量に生産され、脳細胞の主要な燃料としてグルコースの代替になるほどです。ケトン体はまた、骨格筋や腸管でも代謝されます。
 
以上ですが、大体わかりましたか?わかりやすくいえば、貯蔵された脂肪を落とすためには、グルコースが足りない状況を作りこむことがポイントだということです。身体がグルコースを節約しないといけなくなった時、貯蔵されていた脂肪がエネルギーとして動員されるのです。


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